護衛艦
「ひゅうが」型、および「いずも」型ヘリコプタ搭載護衛艦を中心に紹介いたします。
「ひゅうが」型、および「いずも」型は艦橋(ブリッジ)(アイランド)が右舷に寄せて配置されているため、艦首から艦尾まで続く広大な全通甲板となっています。

[語句説明]
●DD = Defense Destroyer = 護衛艦(駆逐艦)
●DDG = Guided missile Defense Destroyer = 誘導ミサイル搭載護衛艦(駆逐艦)
●DDH = Helicopter Defense Destroyer = ヘリコプタ搭載護衛艦(駆逐艦)
●16DDH = 建造費が平成16年度予算で賄われるDDHを意味する。ひゅうが型DDHは16DDH(ひとろくDDH)が「ひゅうが」、2番艦の18DDHが「いせ」、いずも型は22DDH(ふたふたDDH)が「いずも」。
●イージス艦 = Aegis Systemを搭載する艦艇。同時に多数の空中目標を捕捉し、各目標に対応した処理が同時にできるため、特に防空能力に優れる。
護衛艦・巡洋艦・戦艦等の区別とは異なる。例えば誘導ミサイル搭載護衛艦の「こんごう」型DDG-173「こんごう」、DDG-174「きりしま」、DDG-175「みょうこう」、DDG-176「ちょうかい」、そして「あたご」型DDG-177「あたご」、DDG-178「あしがら」はイージス艦でもある。
●CIWS = Close in Weapon System = 近接防御火器システム = ミサイルによる迎撃に失敗し、数km先まで迫ってきた敵のミサイル等を迎撃する最後の防御システム。
●Phalanx = ファランクス = 6砲身の20mmガトリング機関砲を中心とする、米国レイセオン社製インテリジェント射撃システム。「ひゅうが」と「いせ」のCIWSは、このファランクスを採用。「いずも」のCIWSは11砲身とのこと。

ひゅうが 艦番181 16DDH 「ひゅうが」型ヘリコプタ搭載護衛艦1番艦
海上自衛隊2番目の大きさの護衛艦。哨戒ヘリ3機と掃海・輸送ヘリ等1機の同時発着が可能。
基準排水量:13950ton, 満載排水量:19000ton, 全長: 197m, 最大幅: 33m, 深さ: 22m, 最大高: 48m, 吃水: 7m, 乗員: 約340名, エンジン: ガスタービン25000馬力4基2軸, 速力: 30knot, 通常艦載機: SH-60K哨戒ヘリ3機, 加えて要すればMCH-101掃海・輸送ヘリ1機, 最大搭載機数: 格納庫・甲板上合計11機, CIWS: 2基, 1/2インチ機銃: 7, 垂直発射ミサイルセル数: 16, 魚雷発射管: 2基, OYQ-10/FCS-3改

IHI MU社((株)アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド)(
Note)横浜事業所(磯子工場)で平成19年(2007)8月23日に進水。艤装作業、公試を経て平成21年(2009)3月18日に就役。海上自衛隊横須賀基地に配備されました。
Note: IHI MU社はユニバーサル造船社と経営統合してJMU社(ジャパン マリンユナイテッド 株式会社)に社名が変更され2013年1月に発足しました。

「ひゅうが」の進水式は取材できませんでしたので、海上自衛隊横須賀基地に停泊している様子を下記写真にて報告いたします。
左舷側から見る「ひゅうが」 2010年
6月20日
左舷から見る「ひゅうが」』 横須賀市海上自衛隊埠頭
正面から見る「ひゅうが」 2010年
5月28日
正面から見る「ひゅうが」』 横須賀市海上自衛隊埠頭
カバーが掛けられているとは言え、CIWSのファランクスがこちらを向いているのが不気味です。撮影場所は完璧に射程距離内だからです。
「ひゅうが」のCIWS 2010年
5月28日
「ひゅうが」艦首のCIWS』 横須賀市海上自衛隊埠頭
これは艦首のファランクスです。艦尾にも装備されています。
「ひゅうが」と「きりしま」のツーショット 2010年
5月28日
「ひゅうが」と「きりしま」のツーショット』 横須賀市海上自衛隊埠頭
手前に「ひゅうが」、向こうにイージス艦の「きりしま」が停泊しています。

いせ 艦番182 18DDH 「ひゅうが」型ヘリコプタ搭載護衛艦2番艦
海上自衛隊2番目の大きさの護衛艦。哨戒ヘリ3機と掃海・輸送ヘリ等1機の同時発着が可能。
基準排水量:13950ton, 満載排水量:19000ton,全長: 197m, 最大幅: 33m, 深さ: 22m, 最大高: 48m, 吃水: 7m, 乗員: 約340名, エンジン: ガスタービン25000馬力4基2軸, 速力: 30knot, 通常艦載機: SH-60K哨戒ヘリ3機, 加えて要すればMCH-101掃海・輸送ヘリ1機, 最大搭載機数: 格納庫・甲板上合計11機, CIWS: 2基, 1/2インチ機銃: 7, 垂直発射ミサイルセル数: 16, 魚雷発射管: 2基, OYQ-10/FCS-3改

「いせ」は、平成21年(2009)3月18日に就役した横須賀基地所属の「ひゅうが」に続く「ひゅうが」型DDHの2番艦として、IHI MU社((株)アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド)(
Note)横浜事業所(磯子工場)にて進水しました。
進水式後、建造ドックから埠頭の向こう側へ移動して艤装作業が行なわれ、公試完了後、「はるな」型DDHの2番艦「ひえい」の後継艦として平成22年度末(2011年3月予定)に海上自衛隊へ引き渡されました。
平成23年(2011)3月16日に就役。海上自衛隊呉基地に司令部を置く第4護衛隊群第4護衛隊所属となりました。
Note: IHI MU社はユニバーサル造船社と経営統合してJMU社(ジャパン マリンユナイテッド 株式会社)に社名が変更され2013年1月に発足しました。

下記写真にて進水式後の様子を報告いたします。
左舷後方から見る「いせ」 2009年
8月21日
左舷後方から見る「いせ」』 横浜市磯子区新杉田
進水式が終了し、タグボートに引かれて建造ドックから出ます。
「いせ」と「きりしま」のツーショット 2009年
8月21日
左舷から見る「いせ」』 横浜市磯子区新杉田
「いせ」の向こうにイージス艦「きりしま」が停泊していてツーショットになりました。
正面から見る「いせ」 2009年
8月21日
正面から見る「いせ」』 横浜市磯子区新杉田
旋回する途中で正面を向いてくれました。
右舷から見る「いせ」 2009年
8月21日
右舷から見る「いせ」』 横浜市磯子区新杉田
バックしています。埠頭の向こう側で、1年以上をかけて艤装作業が行なわれます。

いずも 艦番183 22DDH 「いずも」型ヘリコプタ搭載護衛艦1番艦
海上自衛隊最大の護衛艦。哨戒ヘリ、掃海・輸送ヘリ等5機の同時発着艦が可能。
基準排水量: 19500ton, 満載排水量: 非公開(27000ton?), 全長: 248m, 最大幅: 38m, 深さ: 23.5m, 吃水: 7.1m, 乗員: 約520名, エンジン: ガスタービン28000馬力4基2軸, 速力: 30knot, 通常艦載機: SH-60K哨戒ヘリ7機, 加えて要すればMCH-101掃海・輸送ヘリ2機, ヘリスポット: 5, エレベータ: 2基(1基はサイドエレベータ(海側へのサイズ制限なし)), 最大搭載機数: 格納庫・甲板上合計14機, CIWS: 2基, SeaRAM: 2基, 魚雷防御装置: 1式, OYQ-12/OPS-50/OPS-28

「いずも」は2013年8月6日、IHI MU社がユニバーサル造船社と経営統合して社名が変更されたJMU社(ジャパン マリンユナイテッド 株式会社)横浜事業所(磯子工場)にて進水しました。進水式後、建造ドックから埠頭の向こう側へ移動して艤装作業が行なわれます。
「いずも」の次は、同クラスの2番艦24DDHです。2015年8月にも取材する予定です。
進水式後の撮影は、70~200mmの望遠ズームレンズと1.4倍のエクステンダーで臨んだところフロントの写真が小さかったので、次回は2倍のエクステンダーと、標準ズームも持ってきます。
撮影場所にいたカメラマンは前回の「いせ」のときには私を含めて3人でしたが、今回は合計で10人くらいもいました。報道のプロはいなかったようですが、好きな人はいるものですね。
ヘリコプタ小型船舶から撮影しているプロらしい人達もいました。

2015年3月25日のコメント: JMU社から海上自衛隊へ引き渡されました。横須賀基地の第1護衛隊群第1護衛隊に所属するそうです。
建造中の「いずも」 2013年
5月18日
建造中の22DDH』 横浜市磯子区新杉田
進水式まで3ヶ月を切りました。
左舷後方から見る「いずも」 2013年
8月6日
左舷後方から見る「いずも」』 横浜市磯子区新杉田
進水式後1時間ほど経って、やっと艦名の覆いが外されました。この時点まで私には艦名が不明なので「22DDH」でした。
左舷側から見る「いずも」 2013年
8月6日
左舷から見る「いずも」』 横浜市磯子区新杉田
さすがに大きいです。建造ドックから出て、目の前で左へ90度旋回されたときは望遠レンズのエクステンダーを外しても画面からはみ出してしまいました。この写真は、真ん前から少し右へ進んだ(バックした)位置です。
正面から見る「いずも」 2013年
8月6日
正面から見る「いずも」』 横浜市磯子区新杉田
埠頭の先で左へ180度旋回する途中で正面を向いた瞬間です。旋回はかなり速いので、1秒間隔くらいでシャッターを切った、その中の1枚です。
右舷側から見る「いずも」 2013年
8月6日
右舷から見る「いずも」』 横浜市磯子区新杉田
上の写真からさらに左へ90度旋回しました。建造ドックでの位置からは左へ270度旋回したことになります。バックして向こう側の艤装岸壁に係留され、1年以上をかけて諸々の装備の艤装作業が行なわれます。

かが 艦番184 24DDH 「いずも」型ヘリコプタ搭載護衛艦2番艦
2015/8/27に行なわれた命名・進水式を取材できませんでしたので、新聞「WING」(2015/9/9付)から概要を引用します。

艦名: 「かが」
基準排水量: 約1万9500トン
全長・全幅・吃水: 248メートル・38メートル・7.1メートル
機関形式・軸数: ガスタービン4基・2軸
出力: 11万2000馬力 (PS)
最大速力: 30ノット
主要装備: 高性能20ミリ機関砲2基、対艦ミサイル防御装置 (SeaRAM) 2基、魚雷防御装置1式、対水上レーダー1基、対空レーダー1基、水上艦ソナーシステム1式、電子戦装置1式、情報処理装置1式
航空装備: SH-60K哨戒ヘリコプタ7機、艦上救難等を行なうヘリコプタ2機
ヘリスポット: 全通甲板上に5ヵ所
乗員: 約470名 (司令部要員を加えると約520名)
納入時期: 艤装岸壁で艤装作業が行なわれ2019年3月防衛省へ引き渡し予定。
「いずも」との相違点: 舷側の搭載ボート収納部開口部にレーダー電波反射低減のための遮断板を追加した程度。
初代艦長: 遠藤昭彦1等海佐
備考: 現有DDH「くらま」(基準排水量5100トン、搭載ヘリコプタ3機、ヘリスポット1ヵ所)の後継艦。全通甲板DDHとしては「ひゅうが」、「いせ」、「いずも」に続いて4隻目。旧海軍の「加賀」は戦艦として計画、空母として完成。ミッドウェイ海戦で戦没。
外部リンク: JMSDF(海上自衛隊)  JMU(ジャパン マリン ユナイテッド 株式会社)  MHI(三菱重工業株式会社)
株式会社トライアングルYOKOSUKA軍港めぐり  Raytheon

戻る  トップページ>『特集』>『護衛艦
Copyright © 2002- Sam Ohta/JA1POP All Rights Reserved.