ステーキ特集
「アメリカのステーキは、まずくて硬くて『わらじ』を食っているようだ」と言う人がいますが、私はそうは思いません。
たしかに昔は硬い筋が多くて噛みきれない肉もあって、「わらじ」より「ゴム草履」の表現が最適でした。
しかし、いまはどこのステーキハウスでも、そんなにひどくはありません(
Note 1)。OUTBACK(外部リンク) はリーズナブルな価格で美味しいですし、MORTON'S(外部リンク) は高いだけあってステーキはもちろんワインの品揃えも素晴らしいです。
私は、日本の霜降り肉(Marbled meat (Fat meetとも))はブランド牛であってもなくても敬遠したいです。アメリカの普通の牛肉が好きです。
脂身は美味しいですが、私はメタボを意識して脂の部分を除けて残します。霜降りでは脂を除けようがありません。
ところで、ブランド牛の霜降り肉とは別に、『Pichoriのサイト』の渡邉氏によればヘット(牛脂)を乳化剤で液化した調味液を硬い赤身にインジェクタで注入すると霜降り肉に変身するそうです。インジェクタには高い圧力で調味液が出る注射針がたくさん列んでおり、注射針を肉に射し込むときに硬い筋を切断するとともに調味液の効果で赤身を柔らかくするという一人二役の優れものです。この『霜降り』肉は、日本のほとんどのファミリーレストランで使われているそうです(使われていること自体は何の問題もありません)。
ブランド志向の強い、一部の、しかし声の大きな日本人が異常に霜降り肉に拘り、霜降りなら高くても買う・食べるという風潮がそれを後押ししていると思いますし、筋のある硬い赤身が柔らかい霜降り肉に変身するのですから賞賛すべき技法です。しかし、私は調味液が注入されていてもいなくても、とにかく霜降り肉を食べたくありません。渡邉氏も同じ意見です。日本でも米国のような『普通の』牛肉を生産していただいて、ステーキを米国のようなリーズナブルな価格で提供して下さることを切望します。
なお、日本にいるときはヘルシー料理とされる「刺し定(魚介類の刺身定食)」大好き人間の私ですが、米国ではステーキハウスに行くと決まった時点で、メタボも BSE も眼中になくなってしまいます。それが会社の健診に引っかかる原因になりましたので、少し反省しております。(
Note 0)

ステーキの焼き加減
ステーキハウスでは、焼き加減としてレア(rare)、ミディアムレア(medium-rare)、ミディアム(medium)、ウェルダン(well-done)の4種類を指定できます(Note 2)。
メニューに表示されている10オンス、1ポンドなどの質量(
Note 3)は焼く前の値なので、テーブルに出てきたときはウェルダンが一番軽くなります。また、T-ボーンステーキは骨の重さも含まれています。
レア: 焼けているのは表面だけ、内部はほぼ完全な牛刺しです。
ステーキが大好きな人の選択肢は、これしかありません。
ミディアムレア: レアとミディアムの中間で、内部は牛刺し状態が保たれています。
ステーキが好きな人には、これがお勧めです
ミディアム: 肉の内部にも軽く火が通っていて、牛刺し状態はあまり残っていません。
ステーキ初心者にお勧めです。
ウェルダン: 肉の内部まで完璧に火が通っているのでパサパサ、表面はカリカリです。
ウェルダンは、誰にもお勧めできません。赤いのが気持ち悪いという方は、ビーフステーキでなくシーフードをご注文されるのがベストです。たいていのステーキハウスにはシーフードもありますから、ロブスターやシュリンプを召し上がればハッピーな気分を味わうことができます。

レアとミディアムレアは、実際には下の写真のように外観上は大差がありません。ミディアムとミディアムレアを並べて比較しても大差はありませんでした。そもそも焼き加減というのは、そんなものかもしれません。
料理人の心構えは、たぶん、つぎのとおりです。
レアを注文する客はステーキが大好きだから、牛刺し状態を充分に保つため強力なバーナーで表面を短時間炙る程度。
ミディアムレアを注文する客はステーキが好きだから、牛刺し状態を残すようにレアよりは若干弱火で少し長く炙る。
ミディアムを注文する客はステーキ初心者かもしれないので、牛刺し状態をあまり残さないように弱火で焼き時間をかなり長く。ここまでは許せるという気分。
ウエルダンと言われたら?・・・もう仕方がない! 赤い部分を全く残さないように弱火で長時間、じーっくり焼き上げる。こうなったら水分は蒸発し、脂が抜けてしまうので全体がパサパサ、表面がカリカリは当たり前だぁ!

Note 1: 米国の全てのステーキハウスに行って調査したわけではありません。ニューヨークニュージャージーオハイオマサチューセッツコネチカットアリゾナテキサスカリフォルニアの複数のお店で美味しいと感じたという程度にお受け取り下さい。
Note 2: 日本のステーキハウスでは焼き加減の指定ができないお店があります。
米国人が来日したとき、ファミリーレストランに連れて行ったことがあります。その人がミディアムレアのステーキを食べたいと言うのでお店に聞いたところ、「ミディアムしかお承けできません」と。ファミリーレストランのマニュアルにはミディアムしかないのでしょうから仕方がないですが、その人はかなり不満そうでした。もちろん、日本でもステーキハウスでしたら焼き加減の指定ができないということはないでしょうし、お客が自分で好きなだけ焼くというお店もあります。
この米国人を霜降り肉の高級料亭(岐阜県)へ連れて行ったこともあります。超有名な『ブランド牛』ですが、「ん??」という顔で、「こんな脂っぽい肉は勘弁してくれ!」と訴えているのが分かりました。
Note 3: 米国は、頑なにヤード・ポンド法が一般的なので質量の単位にはポンド[lbs]とオンス[oz(s)]が使われています。
1ポンド = 16オンス = 453.592グラム。1オンス = 28.3495グラムです。
ステーキハウスのメニューは、8、10、12、16オンス(1ポンド)が多いです。 ---> OUTBACK
(外部リンク)メニュー(PDF)(2010年版)
Note 0: 下の写真よりもっと下をご覧下さい。
ステーキ特集 NYの小さいステーキ その1 ニューヨークの小さいステーキ その1
私は控えめの10オンス(283グラム)です。残したら勿体ないのでメニューの質量に注目して小さいのを選んだら、余計なソースがかかっていました。ここは『近況』のページの、この写真右下のレストランです。
ステーキ特集 NYの小さいステーキ その2 ニューヨークの小さいステーキ その2
私は今回はもっと控えめに8オンス(227グラム)。控え過ぎでした。ここは、マンハッタンから北方へ車で少し走った町のステーキハウスです。
ステーキ特集 NYの小さいステーキ その3 ニューヨークの小さいステーキ その3
前回は8オンスで控え過ぎましたので、今回は9オンス(255グラム)にしました。付け合わせのキャロットの量が多いこと! このときにいただいたワインはこちら
ステーキ特集 NYの小さいステーキ その3 ニューヨークの小さいステーキ その4
同行者の9オンス(255グラム)です。付け合わせのマッシュドポテトがステーキより多いです。ここは、マンハッタンから北方へ車で少し走った町のステーキハウスです。
ステーキ特集 NYのT-ボーンステーキ ニューヨークのT-ボーンステーキ
同行者の22オンス(624グラム)です。ここは、マンハッタンから北方へ車で少し走った町のステーキハウスです。
ステーキ特集 NYの普通のステーキ その1 ニューヨークの普通のステーキ その1
これは同行者の1ポンド(16オンス)(454グラム)。余計なソースのかかっていない、これが美味しいです。ここは『近況』のページの、この写真右下のレストランです。
ステーキ特集 NYの普通のステーキ その2 ニューヨークの普通のステーキ その2
同行者の14オンス(397グラム)。ここは、マンハッタンから北方へ車で少し走った町のステーキハウスです。このときにいただいたワインはこちら
ステーキ特集 LAの普通のステーキ ロサンジェルスの普通のステーキ
米国人は、女性でも1ポンド(454グラム)超を平気で食べてしまいます。ここは、日本人・日系人が多く住むトーランスのレストランです。
ステーキ特集 LAのステーキ各種 ロサンジェルスの各種ステーキ
五つのT-ボーンステーキ(T-bone steak)と、普通のステーキが所狭しとならんでいます。後ろ姿の人は 『Pichori のサイト』の渡邉氏で、彼の右肩の上にあるT-ボーンの所有者です。渡邉氏はT-ボーンを丸ごと独り占めしたので持て余し気味です。ここは、日本人・日系人が多く住むトーランスのレストランです。
ステーキ特集 LAのT-ボーンステーキ 肉の種類と位置 ロサンジェルスのT-ボーンステーキ お肉の名称と位置
T-ボーンステーキは、骨がTの字に見えるので、こう呼ばれます。画面の骨は、向こう側から見るとTの字です。
拡大写真でお肉があった位置と名称を示します。肉の質量に骨の質量を加えたのがメニューに表示されている質量で、焼く前の値です。ここは、日本人・日系人が多く住むトーランスのレストランです。
ステーキ特集 LAのT-ボーンステーキ ロサンジェルスの三つのT-ボーンステーキ
写真の方向では左側がサーロイン(sirloin)、右側がフィレ(fillet)です。どちら側も肉の量が多いので、それぞれを二人で半分ずつシェアしています。こうすれば、二人ともサーロインとフィレを楽しめます。ここは、日本人・日系人が多く住むトーランスのレストランです。
ステーキ特集 LAのT-ボーンステーキ 四つ目 ロサンジェルスのT-ボーンステーキ
これもT-ボーンステーキです。この方向ですと、骨がTの字に見えると思います。左側がサーロイン(sirloin)、右側がフィレ(fillet)で、サーロインがまだ残っています。ここは、日本人・日系人が多く住むトーランスのレストランです。
ステーキ特集 LAの
での私のステーキ ロサンジェルスの私のステーキ
この頃は、私もミディアムを注文していました。ここは、日本人・日系人が多く住むトーランスのレストランです。
飲食に関する世間話
洋食と和食
◎NY (ニューヨーク) のマンハッタンでは、上の写真のようにステーキはもちろん和食を含めて世界の味を楽しめます。
マンハッタンのとんこつラーメンは、日本で食べるより美味しく感じました。コリアンレストランも日本人の舌に合います。

◎マンハッタン島西側のハドソン川を渡ると(またはトンネルをくぐると)ニュージャージー州です。ここにはハドソン川の向こう側にマンハッタンの摩天楼を臨むことができる、昼も夜も景色が素晴らしい場所に嘗てのヤオハン、現在はミツワのニュージャージー店となったこの近辺最大の日系モールがあって、入ると自分がアメリカにいることを忘れてしまって「外人が多いな」という印象です。
他の州から大型バスを仕立てて買い物ツアーに来る在米日本人がたくさんいます。このモールには日本の食材だけでなく、日本の専門店がたくさん入っているので、一回のツアーでいろいろな品物が揃うからでしょう。

◎和食は、日本人が経営し、日本人が調理しているお店が美味しいです。当たり前ですね。
こちらの人は、「隠し味」など理解できません。甘い(sweet)か、辛い(hot)か、しょっぱい(salty)かしか識別できないのでは?
調理人がそういう人では日本人にとって美味しいわけがないですね? うどんのツユは醤油をお湯で薄めただけというお店もありました。それは、エンパイアステートビルの1Fです。「UMAMI」という英語があるそうですが、理解できる人の方が少ないのではないでしょうか。
醤油(soy sauce)は、米国内にキッコーマンやヤマサの工場があるためか、容易に入手できます。
港から遠いラスベガスやオハイオの寿司は、日本人が経営していてもネタの鮮度がすごく悪いお店がありました。
NYやLA(ロサンジェルス郡)の日本の回転寿司チェーン店は、日本で見たこともないメニューは敬遠しましたが、普通のネタのものは美味しいです。

◎マンハッタンから北方へ車で少し走ったウェストチェスター郡ホワイトプレインズ、ニューヨーク市クイーンズ区のフラッシングやベイサイド、ナッソー郡のポートワシントンにもジャパニーズレストランがありますし、ニュージャージーには上記のミツワもあります。
また、日本食材店も各地に点在しています。食材ではホワイトプレインズの大道にお世話になりました。大道にないものは、ニュージャージーのミツワに行けば入手できます。
一般の旅行者が日本食材店を見つけるのは簡単ではありませんが、在住の日本人にはネットワークで情報がいち早く伝わるようです。

◎西側の、特にLAでは和食がたいへん元気です。
東側より日本人・日系人が多く、日系スーパのミツワ、マルカイ、ニジヤマーケットがありますし、新鮮な海産物も豊富です。
ヤオハンの経営破綻を契機に誕生したミツワは、LAでも特に日本人・日系人が集中するトーランス市に本社があります。
LAでは、上の写真のとおりステーキももちろん very good です。LAは、日本人にとって住みやすい地域であることを実感しました。夏はカラッと涼しく冬は温暖です。訪問したLAの会社の垣根はハイビスカスでした。

◎「米国で和食などはナンセンス。郷に入っては郷に従え!」というご意見は、ごもっともです。
米国に行く機会が少なく、且つ滞在期間が短い場合は、この時とばかりにステーキでも何でもガツガツ食べるのが得策です。なにしろ日本で和牛をいただくより、かなり安いですから。
私の場合は和食にありつけないことはストレスになりますが、我が社にいたO氏は私と年齢があまり違わない「団塊の世代」なのに「メシはハンバーガで問題なし」という変わり者(ごめんね)です。O氏は、上の写真でステーキのナイフを振りかざしています。

◎ちなみに、スープや麺類をいただくとき、ズルズルっと、すする音に外人さんは敏感で、ジロっと見られます。
ジャパニーズレストランで、ざる蕎麦をシュルシュルっと食べるなら「てやんでー! 文句あっか!」でいいかもしれませんが、周囲に外人がいるときは配慮が必要です。外人は、「おなら」より「げっぷ」の方が下品だと感じるとか。マナーはわきまえるべきですね。それこそ「郷に入っては郷に従え」です。(食事の話題なのに申し訳ありません。)(「外人」は、英国人、米国人を想定しています。)

水質
NYの水道水は飲めます。私はホテルの蛇口の水を平気で飲んでいますが、石鹸の泡立ちが悪いので横浜や東京より硬質かもしれません。水に当たりやすい人はペットボトル入りの水を買ってお飲み下さい。水は、ドラッグストア、デリ(デリカテッセン)など、どこでも売っています。
LAは、滞在延べ日数が1年に満たないので水質は断言できません。悪くはないようですが、私は用心してペットボトルの水を飲んでいます。

Note 0:
上記は2004年~2012年頃までの、私がメタボだった時代の報告です。米国に頻繁に滞在して1ポンドのステーキも平らげたお陰で胃袋が伸びきってしまい、日本での食事量も増えました。胃拡張のため、たくさん食べないと満腹感が得られない状態です。それまでは身長に対する標準体重である66 kgを維持してきた私が73 kgにもなってしまって、下りの階段で、お腹から脇腹、さらに背中の脂が「ダボン ダボン」という状態です。会社の検診ではコレステロール値過大、中性脂肪過多の指摘を受けるに至りました。
そこで、メタボ対策として食事量制限を実行しました。夜食はもちろんのこと間食は絶対にしない、炭水化物の摂取を半減する、「勿体ない」という気持ちを抑えて必ず残すという毎日を数年間続けました。その結果、なんと標準体重を大きく下回る57 kgまで落ちてしまって体力不足を感じました。胃袋が縮んだため、多く食べようとしても入らないのです。
2013年から運動をしつつ食事量を増やす努力をして、2015年にやっと63 kg程度まで復活しました。
皆様は、どうぞ極端な対策を実行されないで下さい。痩せるときは全身の筋肉から減ります。腰回りの脂が落ちるのは最後です。逆に、増やそうとしてたくさん食べると腰回りの脂から増えます。運動することに多大な努力をしないと筋肉は増えません。

外部リンク: MTA (The Metropolitan Transportation Authority)LIRR (Long Island Rail Road)スケジュール・運賃
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